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春のひかり2017-04-17 Mon 20:03
その日はよく晴れたうららかな春の日だった。 暖かくなって雪が融けてゆく。 長い間雪に閉ざされる地に暮らす者にとって、春は待ち焦がれた恋人のようにも思える季節だ。 そんな良い季節を迎えて、最後のデートの日がやってきた。 物事には終わりがある。 終わらない関係はない。 けれど、ああそうですか、で済ませることができるほど、自分の感情は簡単ではなかった。 そもそも自分から言いだしたことなのに。 長い長い時間、指を絡めて抱きしめてくれていた。 好きだよ、と言ってくれた。 素直に嬉しかったし私も大好きなのに、言えなかった。 未来のない「好き」は、虚しい気がした。 後になって、未来などなくても好きは好きじゃないかと後悔した。 未来がないことなどわかっていたし、閉じた世界に二人きりで存在する、 その空間に時々いることができたらそれでよかった。 成功不安。 うまくいきそうになると自分で壊してしまう。 どうかしてる。 恋愛の美味しいところだけを味わうキリギリスにバチがあたった。 最後の逢瀬ののちに外へ出ると、春の光が眩しかった。 想い
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言葉と行為。2013-11-16 Sat 20:45
浴室が肌寒いので、バスローブでくるまれてベッドに連れて行かれた。 いつもは浴室のマットの上に横たえられるのだが。 タオルで丁寧に水滴を拭いてくれる。 子供にするような行為で、彼の愛情深さを感じる。 彼が仰向けに横たわり、私は上から彼の頭を抱く。 頬ずりとキス。 愛おしい気持ちを伝えたいから? 言葉にはできないから? そうかもしれないけれど、実際にはしたい事をしているだけだ。 行為は言葉にするよりも深く思いが伝わる様な気がする。 バスローブでふんわりとくるんでくれたり、 水滴を丁寧にとってくれたり、 それだけで、私は殆ど泣きそうなのだ。 後ろから、背中に頬ずりして、皮膚の感触を楽しみ、 形状を記憶しようとするように、丸みやくぼみをなんどもなぞる。 それに呼応するように熱くなったり湿潤してきたりする、 皮膚と粘膜の雄弁さを知る。 言葉がなくても私を上にしたり下にしたりできる。 その表情だけで、十分に感じている事がわかる。 言葉が理性の象徴ならば、理性を取り払って 根源的な交わりができたと言えるのかもしれない。 想い
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秋の温度。2013-09-27 Fri 21:33
秋の空気は、わけもなく寂しい気持にさせる。 何度も繰り返している季節なのに。 この温度と湿度、風のにおいのせいだろうか。 夏草の青いにおい、 秋の乾いた草のにおい。 暑い夏の昼間の汗ばんだ背中、 さらりと乾いた秋口の背中。 季節は変わっても、唇の温度は変わらないことを 背中の皮膚で知る。 想い
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another sky2013-09-11 Wed 20:13
あの頃は、人生ってこれからだと思っていた。 引っ越した土地で新しい何かが始まると。 何年も経って、折り返し点をとっくに過ぎて、ようやくわかった。 あの頃海沿いの街で見上げていた空と、この内陸の土地の空。 。。。同じ空だったということ。 どこへ行ったところで、別な空なんていうものはない。 それは絶望ではなく、自分にとっては小さな安心だと ようやくわかった。 想い
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とけあう。2013-04-13 Sat 10:33
彼は私の皮膚を楽しむように、撫で回したり、頬ずりしたりする。 そうされることで、私も彼の皮膚の感触を楽しむ。 そのうちにひとつにとけあってしまえたらいいのに。 そんな野望を抱きながら、皮膚を求め合う。 自分の全てで彼を感じて受け入れたい。 体も心も裸になって。 想い
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