インク一滴

諸々の事情がかみ合い、久し振りに東京で逢えることになった。
午前の飛行機で先に到着し、チェックインしたホテルで、夜に到着する彼を待つ。

彼は通常通り１７時までの仕事をこなし、それから飛んで来る。
21時くらいの到着になりそうだ。

お腹をすかせて飛んで来る彼は、ワインを１本抱えて来る。
泊まれる時には好みのワインを持参して、テイクアウトのデリものを
部屋でゆっくり楽しむのがだいたいいつもの夕食だ。

「空港に着いた」
「今モノレール」
と、移動毎に短いメールが入り、足取りを伝えてくれる。
どんどん彼が近づいて来ることを実感する。
そろそろ？と思っていると、部屋のチャイムが鳴る。。。

極力揺れないようにしっかり抱えてきた１本のワイン。
一方、早く着きたくて移動毎に走っていたので、汗だくになっている。
普段必要以上に汗をかく事を嫌うのに。。。
彼が先着で私があとから到着する時も実はそうなのだ。
汗かこうが転びそうになろうが、走る。。。
今でも彼も同じ気持でいてくれることが嬉しくて、じんわり感動した。